クールな次期社長の甘い密約
けれど、その切なる願いは叶わず、倉田さんが泊まっているホテルに私達二人が並んで入って行く画像が現れたんだ。
「これでも否定するのか?」
ジリジリと迫ってくる専務を見上げ、必死で言い訳を考えていた。
でもあの日、私と倉田さんの間には何もなかった。ここは下手に言い訳するより、正直に真実を話した方がいいかも……そう思った時、倉田さんが私を押し退け、専務の足元に両手を付くと深く頭を下げたんだ。
「誤解される様な事をしてしまい申し訳ありませんでした」
しかし、専務の怒りは収まらず、土下座をしている倉田さんの肩を足で蹴り罵声を浴びせる。それでも頭を下げ続ける倉田さんを見て黙っているのが耐えられなくり、私達が抱き合ったワケとホテルに行った理由を全て話した。
「木村の事で会っていたと言うのか?」
「そうです。どうしても真実が知りたくて私がお願いしたんです。倉田さんは仕方なく会ってくれただけ。悪いのは私です」
「で、倉田は木村の事をあっさり茉耶にバラしたってワケか。秘書のくせにベラベラ喋りやがって……最低な男だな」
「倉田さんが最低?」
「あぁ、そうだ。コイツは口の軽い最低最悪な男だよ。こんな男を信用していた俺がバカだった。もう倉田は津島物産には必要ない。クビだな」
クビだなんて、嘘でしょ? 倉田さんは専務が不利にならない様に木村さんの事を穏便に解決してくれたのに……そんな簡単に切り捨てるなんて酷い。
けれど、倉田さんは「分かりました」と言って立ち上がる。