クールな次期社長の甘い密約

「当然です。専務の趣味を全て把握している私が行かなければ話になりません」

「へっ? なんですか? それ」

「専務が見てそそられるモノを選ばないと意味がありませんからね」


専務が見て……そそられる? えっ、えぇっ? 専務が下着を見るって事は、つまり、そういう事でしょ?


「どうして専務が見るんですか? ムリムリムリ! 絶対無理です!」


さっき褒められたばかりだけど、ここは何があっても譲れない。しかし、抵抗虚しく倉田さんにヒョイと小脇に抱えられランジェリーショップに連れ込まれた。


「ぐっ……」


店内に入ったとたん、私だったら絶対に選ばないと断言出来る大胆なランジェリーが目に飛び込んでくる。


ほとんど布の部分がなく紐状のショーツに、カップが浅く付ける意味があるのかと疑いたくなるブラ。もちろん中には可愛いリボンやフリルが付いているのもあるけど、スケスケだったりして私の趣味じゃない。


手に取るのも憚られ、直立不動で店内を見渡していると倉田さんが恥ずかしげもなく真剣な表情でブラを物色している。


これぞ正しくドン引きだ。いくら専務の為だと言っても、なんの躊躇もなく女性の下着を手に取るなんてあり得ない。倉田さん、変態確定だ。これじゃ嫁も来ないわ。


激しく納得していたら、女性店員が笑顔で「サイズを測りましょうか?」って声を掛けてきた。すると倉田さんが理解し難い事を言ったんだ。


「その必要はありません。彼女のサイズは把握しています」

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