クールな次期社長の甘い密約
ドヤ顔で高笑いする森山先輩には悪いけど、それは、ちょっと……
確かに倉田さんは変人だけど、そんな大それた事をする様なタイプには見えないし、いくらなんでも話しが飛躍し過ぎている。それに、私が聞きたかったのは彼が専務を好きかどうかって事だったんだけどなぁ……
複雑な気持ちで苦笑いをする私に構わず、森山先輩は更に妄想話しを炸裂させる。
「この事実を専務は知らないのよね。自分から社長の座を奪おうとしているのが信頼している秘書だと知ったら、きっとショックなはず。大沢さんもそう思うでしょ?」
「は、はぁ……」
「専務に教えてあげたいけど、私の言う事なんて信じてもらえそうにないし。あぁ~可哀想な専務……」
森山先輩が切なそうにため息を付いた時だった――
「なんで俺が可哀想なんだ?」
えっ? この声は、まさか……
二人して恐る恐る振り返ると……そこには、カウンターに両肘を付き、爽やかな笑顔で私達を見つめる専務が居た。
「ゲッ! 専務っ! い、いつからそこにいらっしゃったんですか?」
「んっ? 今来たとこだが? で、俺が可哀想ってどういう事?」
「あ、それはその……いつもお忙しい様ですし、大変だなって思いまして……」
必死に平静を装う森山先輩だったが、引きつった笑顔は最高に気味が悪い。
「俺の事を心配してくれるとは嬉しいね。でも、そんな心配は無用だよ」
そう言った専務が微笑み「茉耶ちんが癒してくれるからな」なんて、サラッと爆弾発言してくれるから、今度は私の顔が引きつる。