クールな次期社長の甘い密約
何それ? まるでサスペンスドラマじゃない。
「でも、復讐するなら、どうして津島物産を辞める必要があったのですか? ずっとここに居た方が良かったんじゃ……」
「まぁ普通に考えたらそうかもしれないわね。でも、倉田課長は津島物産に入社して気付いたんじゃない? こんな大企業を相手に、一社員の自分にいったい何が出来るんだろうって」
「現実を思い知らされたから、倉田さんは津島物産を辞めたと?」
「そう、津島物産と対等に戦える力を手に入れる為にね。ここを辞めた後の彼の経歴を見れば、なるほどって思うはずよ。倉田課長はハーバードに留学したって言ったでしょ? 彼はそこでMBAを取得してるの」
森山先輩の話しによると――
MBAとは、ハーバード・ビジネス・スクールで取得出来る経営学修士の事。MBAを取得している者はまだ少なく、希少価値があるからステイタスにもなるし、アピールポイントなもなるそうだ。
「それが……復讐とどう関係あるんですか?」
「もぉ~鈍感ね! そんな優れた経営学を学んだって事は、彼は経営のプロなのよ」
続けて森山先輩は、倉田さんが秘書課を希望したのも会社の内情を知る為だと断言する。
「えっ? それって、まさか……会社を?」
「そう、倉田課長は津島物産を乗っ取るつもりなのかもしれないわ。成功すれば、最高の復讐だものね。それに、ここにきて社長が自分の後継者は世襲ではなく実力のある者に~なんて言い出したのも引っ掛かるわ。
もしかしたら、倉田課長は社長の弱みを握って後継者は自分にしろって脅しているのかもしれないわね」