となりのお兄さん

1Day~Afternoon~

「ふぃ~」
やぁっと授業終わったぁ・・・。

「なんか、今日は一段と疲れたわ…」
と、真希ちゃんは肩を落としていう。
私がそうだよね!というと

「あんたはいつもでしょっ」
と言ってビシッとチョップされた。
私はえへへ。と言って笑う。

「あれ?真希ちゃんどこ行くの?」
真希ちゃんが、昇降口とは違う方向へ歩きだそうとするので思わず口に出してしまった。
真希ちゃんは、あぁ・・・と言ってから

「職員室に呼び出されててね。書類を出しに。」

私はそっか、待ってるよ。と言った。

真希ちゃんは、じゃあ待ってて!
と言って走って職員室に向かった。

う~ん・・・今日夜何作ろう?
肉じゃが?ハンバーグ?オムライス?
んんんん・・・聡さんに、聞いてみる?
えぇ・・・でも、あぁ、どうしよう…

そんなことを考えているうちに真希ちゃんが職員室から戻ってくる姿が見えた。

「ごめ、お待たせ。」
「ううん、いこ!」

そして私達は門に向かって歩き出す。

門が見えてくると真希ちゃんは目を凝らした。
何をしているんだろ?そう思ったけど、門の方には目を向けなかった。

「ねぇ、門で囲まれてる人いるんだけど?」

「え?」
私はようやく、目を向けた。
するとそこには先生に囲まれて困っている聡さんの姿が見えた。

「そ、聡さん!?」

「綾音ちゃん!」
聡さんは、ニコリと笑って手を振ってくれた。
そんな笑顔にさえドキリとしてしまう。

「へぇ~、あの人が蒼野さんねぇ、あれはモテるわ。てか、30代ってほんとなの?全然そうは見えないんだけど!?」

私もそれはそう思うよ。

「あれ?綾音ちゃんのお父さんなの?」
と、1人の女の先生が声をかけてくる
私はその質問にノーの答えを出す。
すると、ほかの先生方も
「誰?」「誰なの?」と聞いてくる。

その姿を見て真希ちゃんは
「独身女性がわらわらと・・・大人げない。」
と言った。

すると先生達は我に返ったようにコホンとひとつ咳払いをした。
「綾音ちゃん?この人は誰なの?」
と一人の先生が聞く。
私が説明しようとする前に聡さんが前に出てきて

「申し遅れました。僕は、少しの間、綾音ちゃんの親代わりをさせていただいております、蒼野聡と申します。」

聡さんは恭しく頭を下げた。
その姿を見て先生達はうっとりしていた。

「では、僕はこれで。行こう綾音ちゃん。」


「え、あ、はい!じゃあね、真希ちゃん!」

真希ちゃんは、笑って手を振ってくれた。
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