センパイ、好きです。
「ん、ここが体育館。
まだ間に合うし、急げば?」
「何度もありがとうございます…!」
私はお礼を言って、体育館に足を踏み入れると、ご機嫌な先生の声が聞こえた。
「おー、綾瀬 ( あやせ ) 何してんだ?
また忘れ物か?」
「いや、別に」
またって、なに?
あれは、忘れ物を取りに行った帰りだったってこと? なのに。嘘をついて私を……。
そう考えると、私は先輩の元へ走って行った。
「ん? 1年生か?」
先生は私を見てそう聞いてから
「入学式まで、あと10分だからな~
トイレは早く済ませろよ」
そう言って体育館の中へと消えていった。