溺愛副社長と社外限定!?ヒミツ恋愛

「旦那様、お食事のお時間は何時にいたしましょうか」


――旦那様。
思わず顔を見合わせる。
照れくささに笑みがこぼれた。


「では、十九時頃にお願いします」


京介さんが答えると、中居さんは「かしこまりました」と頭を下げ、しずしずと部屋を出ていった。


「京介さんが旦那様なら、私は奥様?」

「そうだね」


なんだかむず痒い。
私たちはもう一度笑い合った。

ホテルの御曹司でありながら、私たちが温泉旅館に来ているのにはワケがあった。
なんと、応募した懸賞に見事当選したのだ。
近い将来にふたりで暮らそうと購入したマンションの手続きの際に、担当者が『応募しておきますね』と言っていた懸賞だった。

旅館には泊まりたがらないかと思いきや、京介さんもノリノリで来てくれたのだ。
『旅館のおもてなしを見るいい機会だ』と言うから、どれだけ仕事熱心なのかと思ってしまう。

それでも、こうして京介さんとプチ旅行に来られたのは本当に嬉しい。
しかも、ちょうど紅葉のトップシーズンだ。

< 247 / 255 >

この作品をシェア

pagetop