17のとしに
 心臓の汗を洗い流すため20分くらい、湯船に浸かっていた。それでも俺には声はかからかった。普段、この時間だとクレームがくるのだが。汗は流れ続ける。気づいたら傷がついていて胸がじんじんとしてきた。この状態で歯磨きもしないといけないなんて。少しだけ憂鬱。
 しかしこのままではゆでだこになりそうだったので風呂をあがった。うちの場合、リビングの近くに洗面所がある。リビングを通過していかなければならない。足音を殺して歩く。とげとげしい声がはっきりと聞こえてくる。
「なんでそんな言葉いうわけ。仮にもおまえの子供だろ。」
先ほどの兄の声。かなりきつくとげのある声になっていた。
「なんだ。親への口の利き方かそれは!」
「こんなときばっか親ぶってふざけんなよ!!」
大人げないけんかである。いつもいつも兄が親といざこざと起こす。そんなに悪い人間ではないのだが、親にとっては駄目な迷惑な子供というように見えるだろう。安直かもしれないが、こういうことをするから応援されないんだろうなと毎回考える。高校3年生なんだから考えて欲しいものだが。
 しゃこしゃことなるべく彼らにかかわらないように歯磨きをし、母親の所在の確認をしてから、就寝した。自宅でのにんげん間の交流は薄いけれど、今日ばかりはリトやヒロと放課後を楽しめたから良かったなぁ、なんて、天井を眺めていた。

 天井を眺めながら勉強を全くしていないことに気がついたが、正直なところこの気持ちで勉強なんぞしたくない。だから成績がいつまでたっても良くならないのだが、自分に弱いので寝る。
「リト、明日あいてるかな」
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