17のとしに

崩れはじめ

 真っ暗な部屋の中で泣いていた。情緒がぐらぐらと揺れ動く。先ほど力任せに壁を殴った右手が痛い。何でだ。何でこんなにも感情的になってしまうのか。父親と妹の怒鳴りあいの喧嘩が自室まで聞こえる。悲しさと情けなさで死にそうだ。もう駄目だ、死ななければならないときりきりと脳みそが緊急的な指令を出す。何故怒鳴ってしまったのか。普段はこれくらいのことで怒る人間ではなかったはずなのに。夕飯を済ませたら復習をしようかと考えていたがそんな気も起きず、たたんだままの布団に倒れ込んだ。
 帰宅したら妹と母親が喧嘩をしていた。恐らく些細な事だったんだと思う。だからこういってるだの、言うことを聞けだの。思春期に入った妹だから仕方は無いと思うが、最近確実に母親との衝突が増えていたと思う。そして確実に俺はストレスを感じていた。「俺は紗那を思ってそんなことをしなかったのに」という羨望にも似た怒り。
 開戦して時間がたっていたと思う。妹も母親も大声で、叫びに近い怒鳴りあいをしていたのだから。不穏な空気を感じた俺はかろうじて用意されてあった夕飯を最低限詰め込んで立ち上がった。ちゃんと、ごちそうさまも言ったから大丈夫だろうと思っていた。しかし、気にせずリビングで2人は親子げんかを繰り広げている。

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