癒しの田中さんとカフェのまみちゃん
両親に電話して、事情を説明すると随分と驚いていた。
大学を卒業して、正社員の職にも就かず夢を追っていたのに
いきなり結婚とは両親にとってもサプライズに違いない。
ただ、私にとっても驚きの連続だった。

悟さんは交通手段のことは気にしなくていい
という感じで言っていたけど一体どうするんだろう。
両親に会いに行く日の前日、悟さんに確認する。

「明日、何時に起きればいいですか。」

「いつもどおりでいいよ。」

「でも、両親に時間のことはまだ言っていなくて…」

「俺からご両親に電話してあるから。
真美奈が電話してから、
お父さんの勤務先の方にご挨拶の電話を入れておいた。」

「えっ?」

「まぁ、俺に任せて。」

やっぱり、的を得ない返事。


当日、二人で一緒に朝食をとって、

「じゃあ、仕度をして10時にここを出るか。」

と悟さん。

「わかりました。」

そういって仕度をする。

「真美奈、じゃあ行こう。」

悟さんに連れて来られたのは、ビルの屋上。
そこはヘリポートになっていた。

「親父からヘリを借りたから。」

シレっと言う。

そのことばに、悟さんがB.C.Building Inc.の
御曹司であることを実感する。

「B.C.Building Inc.は、
世界中にビルを所有しているから、
仕事でいろいろなところに
急にいかなければならないこともあるんだ。
ヘリはそのため。」

あんぐりと口を開けている私にそう説明した。
この間、世田谷のおうちにお邪魔したときに悟さんが
『親父、そのときはアレ貸してくれよ。』と言っていた
アレとはヘリのことだったんだ。

「さぁ、乗って。行こう。」
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