秘密の告白~おにいちゃん、あのね~
家庭教師、という名の遥姫の相手。
正直、一回りも違う異性の女の子にどうやって相手をすればいいのかわからなかった。
ただ、顔を合わせれば嬉しそうに僕の手を引き、机に並べられた宿題のプリントはほとんど終わっており、遥姫の遊び相手として終わるというのがお決まりのパターンとなってしまった。
これでいいものか、と頭を悩ませたけれども、遥姫が笑っているのなら、そして義之さんが納得しているならばこれでいいのだ、と思うようにしていた。
「おにいちゃんは、大きくなったら何になる?」
いつも通り、宿題の答え合わせをしているときに不意に聞かれたことだ。
「んー、そうだなぁ。まだ決まってないかなぁ?」
大きくなったら、という表現はもう僕には使えないものだと思う。
けれども、まだ学生という身分で、母と一緒にこの家に訪れた様子だと、遥姫にとって、自分も僕も同じ土俵なのだろう。
「遥姫は?何になりたいの?」
夢の溢れる子供時代を送る彼女のキラキラとした笑顔に、いつも僕も嬉しくなる。
しかし予想に反して、遥姫は俯いて焦りだした。
「……えっと、お……」
お?
思わず丸つけする赤ペンを止め、覗き込むと急に紅潮しだした遥姫の顔。
「ひ、秘密!!」
そういうなりプイっと背を向けてしまった。
これはまた新たな反応だ。
「遥姫ちゃーん、教えてよ」
僕がつんつんとむけられた細い背中をつつくと、くすぐったかったのか、よじらせながら顔を見せようとしない。
仕方がないので、こっそりと真っ赤になっている遥姫の耳に手を当てる。
「遥姫、教えて?」
びくっと肩を震わせ、ちらりと上目使いで困ったように見上げてきた。
「お、おにいちゃん……あの、ね……」
ああ、可愛いな。
それはとてもとても温かくて、ほんの少し息苦しさも伴う切ない痛みと同じ感情。
ゆっくりと僕の耳に手を当てて、困ったように遥姫は顔を近づけてきた。
「……こ、今度ね?」
少しかすれた彼女の声は僕にはくすぐったすぎて、でも、僕はもう一度笑い返して小指を突き出した。
「約束ね」
いつかの、僕たちのように。
正直、一回りも違う異性の女の子にどうやって相手をすればいいのかわからなかった。
ただ、顔を合わせれば嬉しそうに僕の手を引き、机に並べられた宿題のプリントはほとんど終わっており、遥姫の遊び相手として終わるというのがお決まりのパターンとなってしまった。
これでいいものか、と頭を悩ませたけれども、遥姫が笑っているのなら、そして義之さんが納得しているならばこれでいいのだ、と思うようにしていた。
「おにいちゃんは、大きくなったら何になる?」
いつも通り、宿題の答え合わせをしているときに不意に聞かれたことだ。
「んー、そうだなぁ。まだ決まってないかなぁ?」
大きくなったら、という表現はもう僕には使えないものだと思う。
けれども、まだ学生という身分で、母と一緒にこの家に訪れた様子だと、遥姫にとって、自分も僕も同じ土俵なのだろう。
「遥姫は?何になりたいの?」
夢の溢れる子供時代を送る彼女のキラキラとした笑顔に、いつも僕も嬉しくなる。
しかし予想に反して、遥姫は俯いて焦りだした。
「……えっと、お……」
お?
思わず丸つけする赤ペンを止め、覗き込むと急に紅潮しだした遥姫の顔。
「ひ、秘密!!」
そういうなりプイっと背を向けてしまった。
これはまた新たな反応だ。
「遥姫ちゃーん、教えてよ」
僕がつんつんとむけられた細い背中をつつくと、くすぐったかったのか、よじらせながら顔を見せようとしない。
仕方がないので、こっそりと真っ赤になっている遥姫の耳に手を当てる。
「遥姫、教えて?」
びくっと肩を震わせ、ちらりと上目使いで困ったように見上げてきた。
「お、おにいちゃん……あの、ね……」
ああ、可愛いな。
それはとてもとても温かくて、ほんの少し息苦しさも伴う切ない痛みと同じ感情。
ゆっくりと僕の耳に手を当てて、困ったように遥姫は顔を近づけてきた。
「……こ、今度ね?」
少しかすれた彼女の声は僕にはくすぐったすぎて、でも、僕はもう一度笑い返して小指を突き出した。
「約束ね」
いつかの、僕たちのように。