ふたりぼっち
「え、私……?! 」



そう、鮎川 春とは……私。


私の、名前だ。


「どういうこと……? 」


その瞬間、ビシィッっと激しい頭痛が私を襲う。


「痛っ……! 」


頭をハンマーで殴られているような、そんな激しい痛み。


「あ、頭が、割れ……そう……っ」

黒い絨毯の上に土下座をするような態勢で突っ伏し、痛みに耐える。


「はぁ、はぁ……」

額から大粒の汗が滑り落ちる。

滑り落ちた汗は、黒い絨毯に染み込んでいった。


……もう、訳が分からない。

どうして私の書いた手紙が、ここに……?

そもそもこの手紙を書いた記憶が、私にはない。


あの男は一体、何者?


私は一体、どうしてここにいるの……?


「駄目、気分が悪くなってきた……」


心を落ち着かせる為外の空気を吸おうと、ベランダに這いずり出る。
< 25 / 118 >

この作品をシェア

pagetop