キスと涙で愛を知る【加筆修正・完】
「軽音は当日練習するけどクラスの方は抜けられるから」
「そっか!碧音君達が来るの待ってるね」
気づけば文化祭まであと少し。
美和ちゃんの一言で碧音君が軽音のライブに出ることになってから、碧音君と放課後やお昼休みに一緒に過ごす時間が増えた。
クラスが違う分、こういうふうに一緒に話せるときが自分にとって特別な時間。
文化祭が終われば、こうやって放課後2人で帰ることも少なくなるのかな。
……前までは廊下ですれ違うだけでも十分だったし、そもそもmidnightの練習を見に行けば会える。
欲張りになってるなぁ、自分。乙女心ってやつはめんどうだ。
「明日歌」
気づけば碧音君の綺麗な顔が近くにあって『眉間に皺寄ってる』と、人差で軽く触れた。
「難しいこと考えてんの?やめたら。知恵熱出すよ」
「遠回しに私がアホっていうのやめて!碧音君がいつもとは違うステージに立ってる姿を想像してたの!」
バレないように自分の欲は胸の奥底に引っ込めた。