キスと涙で愛を知る【加筆修正・完】
「波江、ノート見せて」
「いいよ。はい」
授業中3分の2以上は夢の中だったから、ノートは全くとっていない。可愛らしい桜色のノートには、丁寧で綺麗な字で書かれている。
図も分かりやすいし、教師の板書見るより波江のノートの方が役に立つ。
ササッと要点を真っさらなルーズリーフに書き写しありがとうと言ってノートを返すと『牧田君は寝るのが好きだねえ』と呆れるでもなく、クスクス微笑みながら教科書とノートを仕舞った。
染めてない天然の黒髪が窓から吹く風にふわりと波打ち、健康的な肌が見え隠れ。
俺がつるんでる女とは違って、顔は普通だしスタイルも普通。
でも、波江の雰囲気は誰よりも好きだと思った。
「牧田君、ジッと見られると恥ずかしい」
「ごめんごめん」
「牧田君がごめんを2回言ったらそれは適当に返してる時だね」
「え、分かる?」
「分かるよー」
そう、例えるなら名前の通り春、みたいな人だった。