キスと涙で愛を知る【加筆修正・完】
「明日歌も、そこに立ってないで椅子に座りなさいよ」
遠慮してか、なかなか部屋の中まで入ってこないで入口付近に立っていた明日歌ちゃんを呼ぶと、『はい。ありがとうございます』こっちに来た。
なーんか、ここに皆で来る時から思ってたけど透歌ちゃんいつもと違うよねぇ。普段なら刹那の隣や近くに座ろうとするのに、今は離れたところにいるしさ。
「せっかく買ってきた温かい飲み物、冷めないうちに飲もうぜ。香澄さんはレモンティーっすよね?」
「ありがと」
ひょいっと投げられた缶を見事キャッチして一気飲みする片瀬。豪快だねー。でも酒の一気飲みじゃないんだから、もっとゆっくり味わえばいいのに。
「んで、藍はブラックだよな?碧音はストレートだろー」
「ありがとう、皐月」
「さんきゅ」
コンビニの袋を漁って2人に渡し、俺にも微糖のコーヒーをくれた。そして自分の分のカフェオレを取ったあと、ミルクティーの缶を手に取って明日歌ちゃんにそろりと近づいていく。
けど、本人はぼうっとしていて気がついていない。