キスと涙で愛を知る【加筆修正・完】


わざわざ皐月のやろうとしてることを止める気もないから、片瀬達と話しつつ傍観してみる。そろりそろりと近づき透歌ちゃんの後ろに立ち、まだ少し熱めの缶をぐぐぐ。


「ひゃっ?!!」


頬に押しつけたのだ、何気に力強く。


「ミルクティー、冷めないうちに渡してやったんだろ」


「もっと穏便な渡し方あったよね?!」


「はー、残念だ。俺はよくドラマにあるみたいにほっぺたに缶を押し当てたら『きゃっ、あつーい』って可愛い反応をしてくれると期待したんだけどな」


「……きゃっ、あつーい」


「今更だな!」


「あははっ遅かったか」


皐月がすかさず突っ込めばケラケラ笑う。皐月は笑って欲しかったんだろうな。


俺と同じようにいつも騒いでる明日歌ちゃんが珍しく大人しいから気になっていたに違いない。皐月は案外面倒見いいからねー。何かせずにはいられなかったんだ。

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