幾久しく、君を想って。
清酒の小瓶と寸志チョコをセットにする。
それで父の機嫌が良くなるからいいんだと付け足した。



『へぇー、いいなぁ』


またしても呟きが届き、『松永さんも毎年貰うんでしょう?』と返した。


『義理チョコを山ほどね』


冷や汗をかいたスタンプが押されて戻った。
どこまでが本当だろうかと思い、『ふーん』とスルーしてみた。



『宮野さんも下さいね』


ギクッとして文字を見つめる。


『義理でも友でもいいので』


そんなもの…と、思わず頭の中で否定しそうになった。
彼に贈ろうとしていたのは、調理員さん達に贈ろうとしている友チョコブラウニーと同じ物だったのに。


『考えておきます』と返事をして、それ以上は話を続けたくなかった。

『また金曜日に』と文字を送ると、『それじゃあまた』と返事が戻る。


そのまま文字を返すさずに見ていたら、液晶画面は暗くなっていく。


その向こうで松永さんは今何を思い、どう考えているだろうか。


私がチョコをあげると言わなかったことを残念がったり、悔しがったりしているのか。


していなくても、やはり彼には何か別な物を用意しないといけない。


調理員さん達と同じ、友チョコブラウニーではあんまりだろう。




(こんな事で悩むなんて)


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