切手に想いを添えて
「朝顔の切手の上から桃色の山茶花の切手を貼ってあるのを見て、直ぐに考えを改めたわ。

桃色の山茶花の花言葉は永遠の愛だもの。」




「永遠の愛…」




「この手紙は進士郎さん対する久枝さんの気持ちそのもの。
進士郎さんはきっと、はかない恋ではなく変わることのない永遠の愛として久枝さんに持ち続けてほしかったんじゃないかしら。」




お祖母ちゃんとお祖父ちゃんにそんなことがあったなんて…

全然知らなかった…




「その手紙、大事に持っていてね。」




「勿論です!こんなに素敵な手紙…大事にします!」




「でもお祖母ちゃん、この手紙を書かなくてもお祖父ちゃんと結ばれてたんですね~」



「それはどうかしら。」



「どういうことですか?」




「千鶴さんはまだ学生で、二人の年は12も離れていたのよ?

後から聞いた話だけれど、進士郎さんはね、好意をもってしまったけれど自分は年が離れすぎているから身を引こうとしてたみたい。

あの手紙が進士郎さんの背中を押したのよ。

だからあの手紙がなければ二人は結婚してなかった。

行動するってとても大事なことね。
流れに抗えないことだってあるでしょうけど、そのまま流されるか、抗い続けるか決めて行動するのは自分。
人生は行動によって決まるのよ。」




行動するってとても大事なこと…




その言葉が凄く心に染みてくる…




おばあちゃんのことだけじゃなくて、千鶴さんもまた、長い人生の中でそう思えることがあったんだろう。




それから千鶴さんはお祖母ちゃんとの思い出をたくさん話してくれた。




千鶴さんとはまた会うことを約束し、その日は別れた。









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