3センチHERO
「じゃあ今日の夜はどうするの?」
「どうするって、そりゃあ…」
三枝くんが指差したのは、私の家。
もしかして、と嫌な予感がする。
「お願い!」
可愛らしく手を重ねて、上目遣いで頼んできた。
身長が小さくなったからって、見た目は同じ
なのに、仕草のせいでつい可愛く見えてしまうのは、どうしてだろう。
答えなんて分かっているはずなのに。
仕方ないな、と軽く笑みをこぼす。
「じゃあ家に入るね」
「おう!」
小さな体を壊さないように、丁寧に胸ポケットにしまう。
少し苦しいかもしれないけれど、自室に着くまでの短い間だからきっと大丈夫だろう。