3センチHERO
「なあ、お前いつもああなの?」
二階の自室に着いた瞬間、胸ポケットからひょっこり顔を出した三枝くんは、私のほうを向いてそう尋ねた。
「ああ、って?」
「本当は友だちがいないってこと、家族に言ってないわけ?」
三枝くんの一言で、きゅっと胸がきつく苦しくなる。
そんなに親しくなかったはずの彼にも、もう見抜かれてしまった。
「言えるわけないじゃん…絶対悲しむから」
「ふーん」
優しくて、いつも笑顔なお母さん。
そんな彼女の表情が、暗く染まってしまったらと思うと、また胸が絞まる。