最高の誕生日プレゼントをありがとう
俺の話を黙って聞いていた始は、驚きを隠さず大きな声で笑い出す。

「あゆちゃん、最高だなあ!お前に甘えるんじゃなくて甘えて欲しいなんて。お前にはもったいない。やっぱり俺が先に手を出しとけば良かった」

「おい、冗談もほどほどにしとけよ。それとあゆの事名前で呼ぶな」

始のセリフに鋭く睨みつける。

「はいはい、橘さんね。男の嫉妬は見苦しいぞ。でも本当、橘さん美人でスタイル良くて、その上仕事も細かい所まで気が利いてこっちが求めている以上の事してくれるだろ?あの笑顔にやられてる男がうちの社内だけでも何人いるか。いいのか?このまま付き合ってること隠してて?」

からかうような始の問い掛けに、眉間に皺を寄せる。

そんなのわかってる。

しかも敵は社内だけじゃない。取り引き先の接待に秘書として同行することも多く、その相手からアプローチを受けている事も多い。

そんな相手にも失礼のないよう、やんわり恋人がいるのでと断りを入れるあゆにホッとする。

本当はいつも俺の女だと言って歩きたい。

「俺だってちゃんと考えてるよ」

始に返した言葉を、もう一度自分の中で反芻する。

そう、考えてる。どうしても失いたくない存在だから。

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