光ることを忘れた太陽。


◆◇◆



俺がついてきてほしいと頼んだあの日─────。



「雅兄、って?」


まずはそう返ってきて、雅兄の話をしたことがなかったことを思い出した。


確かに、咲希の前で家族の話なんてしなかった。



迷惑や心配をかけたくなかったから。


何より、咲希にかわいそうな奴だと思われたくなかった。


だから俺は勝手に人との間で壁をつくって、誰も越えられないように自分から塞ぎ込んでたんだ。



でも気づいた。


それじゃダメだ。


それじゃ進めない。


俺には、大切な仲間がいるんだから。



「俺の兄ちゃん、病気なんだ」


そう告げると、咲希は息が詰まったように「嘘……」と呟いた。


いきなりそんなこと言われて、驚くに決まってるよな。



「だから、俺は全然親に見てもらえなくて。物心つく頃には家族が嫌いだった」


そう、嫌いだったんだ。


絶対に許したくなんかなかったんだ。
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