アンダルテ ~王女と騎士の物語~

さらには、先ほどから周りの視線がやけに刺さって居心地が悪いのである。




今日はいつも以上にエルナが時間をかけたため、どこもおかしくはないはずなのに。





アデルは視線から逃げるように、できるだけ母の後ろに隠れて夜会を過ごしていた。




王妃のそばに一緒にいたドモラックはそわそわと落ち着かないアデルを心配そうに覗き込んでいたが、そのうちアデルを夜会に連れてきたことを後悔し始めていた。




なんせ年頃の若い貴族の青年たちが狙うようにアデルを見つめているのである。
今はドモラックやカタリーナがそばにいるから近寄ってはこないが、アデルが1人だったらたちまち取り囲まれてダンスを申し込まれていただろう。
それほど飢えたような貴族の目つきを見て、ドモラックはアデルにそろそろ部屋に下がるよう命じるか考え始めていた。




しかし、青年たちだけでなく今宵の客人全てが釘付けになるのも仕方がない話である。
それほどまでにモルゼ第二王女は美しく、魅力的であった。



腰まで伸びた艶やかな銀髪は高い位置に一つに結ばれているが、こぼれ落ちたかのようにいくつかの髪束が顔周りで緩くウェーブを描いている。それが絶妙なバランスで彼女の儚げな雰囲気を一層強めていた。髪飾りは派手ではないがドレスと合わせた紺色のリボンで、髪色に似合ってよく映えている。
ドレスは紺色で布を何枚も重ねてできており、彼女が動くたびにひらひらとしてまるで蝶が舞っているかのようであった。国王が指定したドレスだったため胸元があまり広く無く、露出の少ないものだったが、むしろそれが彼女の純粋さを際立たせている。

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