イジワルな彼とネガティブ彼女
「なんか言った?」


「いえ、なにも」


じゃあな、と本田さんは駅に向かっていった。


私は駅を背に、自宅へ戻った。


経験する前と後では、世の中が違って見えるかと思ってたけど。


目の前に広がっているのは、いつもと何も変わらない街並みだった。



洗濯機をまわして着替えて、出勤モードへ切りかえていく。


少し早いけど、休んでいた分を取り戻すために会社へ行くことにした。


さっきまでいた、本田さんの部屋があるタワーマンションが見える。


本田さんの部屋はあの辺りかな、なんて信号待ちの間に考えたりする。


なんだか、夢をみていたような時間だったな。


ふわふわした気持ちを押さえこみ、足早に駅へ向かった。



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