イジワルな彼とネガティブ彼女
エレベーターが1階で止まり扉が開いた瞬間、SFYから出向してくる社員が楓さんなんじゃないかとひらめいた。


なんで、よりによって楓さんなわけ?


これはもう、イジメなんじゃないだろうか。


思わず振り返って、楓さんの顔を見上げたら、


「やっと気づいたみたいだな。


これからよろしくな」


ニヤニヤしながら、小声でつぶやいた。


まわりの目があるから、私たちのことはオープンにしたくないんだろう。



朝礼で部長から紹介された楓さんは、


「本田楓と申します。


合併に向けて、しっかり準備をしたいと思っております。


わからないことばかりでご迷惑をおかけしますが、よろしくお願いいたします」


普段とは違う、穏やかな感じで挨拶した。


「本田さんは、基本月曜と木曜に出社予定です。


みなさんよろしくお願いします。


そしたら、高橋さんと足立さん、本田さんの案内頼むよ」


部長のご指名で、ひととおり案内するはめになってしまった。











< 201 / 235 >

この作品をシェア

pagetop