イジワルな彼とネガティブ彼女
「素直にかわいく『ありがとうございます』って言えばいいだろ」


「本田さんの好きな、かわいい女子ではないですから」


文房具の話題で盛り上がってた時は、楽しかったのに。


後半は、なんだか疲れてしまった。


結局、おごってもらうことになり。


外に出たら、細かい霧雨が降っていた。


「家どっち?」


「ここからだと、電車で3駅です」


「送るよ」


「結構です」


「おまえさ、今日だけで何回『結構です』って言ってんだよ」


「わかりません」


「最後くらい、素直になれよ」


あっという間にタクシーをとめると、私を奥に押し込んで、隣に座った。


「お客さん、どちらまで?」


「おまえんちの住所言えよ」


「なんでですか」


「ほら、運転手さん困ってんだろ、早くしろ」


仕方なく、家の住所を伝えた。










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