1405号室の佐藤
「………ごめん、あたし、しつこいよね。分かってるんだけど……やっぱり、ユウジとちゃんと話したくて」

《うん………》

「あのさ………」


そこまで言って、あたしは自分が何を言いたいのか分からなくなってきた。


思わず言葉に詰まってしまったとき、また、佐藤があたしの手を握ってきた。

それで、少し気持ちが落ち着いて。


とにかく、今まで考えていたことを言葉にしよう、と思った。


「―――あたしね、まだ、ユウジのこと諦めきれない。急に別れたいって言われて、全然気持ちがついていかなくて……」

《………うん》

「あたしたちあんなに仲よかったじゃん。ケンカだって、一回もしたことないし。
………ねぇ、ほんとに、別れるの? もう、あたしのこと好きじゃないの? あたしのどこがだめなの? どうして、あたしじゃ………だめなの?」


一度話しはじめると、堰を切ったように言葉が溢れ出してきた。




別れ話が出てから、たくさんたくさん考えたことが、次々に言葉になって出てきた。





ユウジは小さく相槌を打ちながら聞いていたけど、あたしの言葉が途切れたときに、ふぅと溜め息をついて話し始めた。







《………あの、さ。俺は別に、楓のこと嫌いになったとかしゃなくて。その………他の子のほうが、好きなっちゃったんだよ。
だから、お前のどこがだめとか、そういう話じゃなくて。お前は可愛いし、優しいし、好きだよ。でも今はお前よりもそいつのほうがさ……ごめんな》


ユウジはずるい、と思った。

そんなふうに言われたら、あたしは、いつまで経っても、ほんの少しの可能性に賭けたくなっちゃうもん。


< 10 / 14 >

この作品をシェア

pagetop