夜界の王
天井まで高くそびえ列をなす書棚。その中には所狭しとたくさんの書物が詰まっている。膨大な量に思わず目が回りそうになった。
年季の入った紙が放つ、どこか懐かしく感じる独特な香り。書斎の中は埃っぽさは一切なく、きちんと管理されている清潔感があった。
扉からみて正面の窓は一面ガラス張りで、レースのカーテンがかかっている。曇り空なので温かみのある光は入ってこないが、数十メートルはある天井まですべて透明なガラスなので、電灯がなくても室内全体が明るかった。
「すごい……」
途方もなく大きいだろうことは予想していたけど、予想を遥かに超えた。
上を見上げて呆けていると、いつのまにか暖炉のそばに移動していたダレンが呼ぶ。
「好きに読むといい」
「ここにあるものは、全てあなたの本?」
「そうだ。先祖たちが各々集めてきたものがここに全て保管してある。俺もまだ4分の1は未読なものが残っているが」
ということは、4分の3は読破済みということだろうか。それだけでも信じられない。
「すごいわ…本当にどれを読んでもいいの?」
「ああ、構わ………いや、待て。その前に」
そばの本棚の本に触れようとした時、ダレンは早足にアーシャのそばへくる。
「?」
キョトンとするアーシャの目元を、覆い隠すようにダレンの手が覆った。