秘密のラブロマンス~恋のから騒ぎは仮面舞踏会で~


「コルネリア様、それよりお土産を探しましょう。このあたりでは何が有名なんですか?」


落ち込んでいるのに気付いてか、ルッツが励ますように笑った。
気を使わせてはいけないと、コルネリアも気を取り直して笑う。


「わが領土は珍しいものはたくさんあります。他国からの交易品が多いですから。すみません。人気のお土産品を教えていただけますか?」


装飾品の店に入って声をかけると、店主はニヤニヤしながら寄ってきた。


「これは、コルネリア様。あまり見ない紳士をお連れですが、恋人ですか?」

「ベルンシュタイン領からの使いの方です。見せていただいてもいいですか?」

「ええ。こちらなんてどうです? 象牙の腕輪です」

「わー、僕こんなの見たことないです」


かしこまっていた店主は、素直な反応をするルッツに相好を崩す。


「そうだろう? 海を渡った南の大陸からの輸入品だ。象牙と言うそうだ」

「きれいですねー。乳白色っていうんですか。透明じゃなくて面白い。ギュンター様も喜ぶかもしれないですね! コルネリア様」

「え、ええ」

「この薔薇の花みたいな細工はなんですか?」

「これはサンゴの細工だよ。このあたりの昔からの生産品だ。サンゴの加工技術にかけてはよその地区に引けを取らないと思うよ」


よそ者のルッツだって、こんなに簡単に街の人になじむのだ。やはり、自分は少し人付き合いの才にかけているのではないだろうか。

ここにギュンター様がいたら、きっとこんな自分のことを呆れてしまうだろう。
夢のような縁談に浮かれていたが、もしかしたら彼を幻滅させてしまうだけなのかもしれない。

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