秘密のラブロマンス~恋のから騒ぎは仮面舞踏会で~

「こっちの赤いのは?」

「これは赤珊瑚ですね。柔らかいんで細かい細工もできますよ」

「いいね。この赤は妹に合いそうだ。コルネリアにはこちらの白いのかな。この薔薇の花の細工をしたものをもらおうか」


ギュンターは、赤珊瑚と白珊瑚のネックレスをそれぞれ購入しようとする。コルネリアは焦ってそれを止めた。


「だめです。私がお贈りしたいと思っているのに」

「ひとつは妹への土産ですよ。それに、こんなにあなたのイメージにぴったりなものを見つけたのに、贈らないなんて男がすたります」

「でも、私だってギュンター様に喜んでほしいのに……」


言ってからハタと気付いた。今はふたりきりではない。店主は目の前にいるし、店内にはほかの客もいる。
周りをみれば、誰もがこちらの会話に耳を傾け、にやつく顔を押さえようとして押さえられずに生暖かい視線を向けているではないか。


「やっ、……すみません。私ったら」


真っ赤になった顔をコルネリアが両手で押さえると、店主がからかうように声をかけてきた。


「なんだ。コルネリア様アツアツなんじゃねぇですか」


コルネリアはどんどん顔が熱くなっていったが、ギュンターは平然としたまま続けた。


「本当にコルネリアは可愛らしい。これが似合うと思いませんか?」

「思う思う。お客さん、今すぐつけてやったらどうだい」

「そうだね。コルネリア、顔をあげて」


平気な様子で店主と会話を続けるギュンターに気おされつつ顔を上げれば、首に可愛らしい白の薔薇のネックレスがつけられた。照れたような笑みを浮かべたギュンターが目に飛び込んでくる。

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