秘密のラブロマンス~恋のから騒ぎは仮面舞踏会で~
「うん。似合う」
「あの、でも、私」
「コルネリア様。こういう時は素直に喜ぶのがかわいい女ですぜ」
店主に言われて、コルネリアは彼を見上げて震える声でお礼を言う。
「ありがとうございます。でも、私にも買わせてください。私、これを見るたびギュンター様を思い出せます。あなたにも私を思い出すものを持っていてほしいんです」
「……嬉しいことを言ってくれるね。だったら俺はこの腕輪がいいな。これならずっとつけていられる」
「は、はいっ。あのすみません……」
コルネリアが頼む前に、腕輪は一部始終を見ていた店主により差し出された。
「見てらんねぇほどだなぁ。コルネリア様がこんなに可愛らしいとは思いませんでしたぜ。ほら、つけてあげたらいいですよ。紳士さんも待っておられる」
「えっ」
確かに、ギュンターは頬を緩ませながら、一心にコルネリアを見つめている。
コルネリアは恥ずかしさで倒れそうになりつつ、彼の左腕に腕輪をはめた。ほっとしたと同時に、周りから喝采が上がる。
「おめでとうございます。コルネリア様」
「え、あの」
「あれ、ご結婚なさるんじゃないんですか。そんなアツアツで。ここまで来られるってことはもうベレ伯爵も承認済みなんでしょう?」
「いえ、あの」
「これからきちんとご挨拶に行くところです」
にっこり笑うギュンターに、その場にいた人々からは「がんばってー」と声が上がる。
街の人からこんなに親し気に話しかけられるのは初めてで、支払いを済ませて店を出るころにはコルネリアは汗だくだった。