秘密のラブロマンス~恋のから騒ぎは仮面舞踏会で~


「……恥ずかしかったです」

「そう? 俺は楽しかったよ。なかなか自領ではこんな風に気安く話しかけてもらえないしね。ベレ領はいいところだね」

「そうですか?」

「うん。そう思うよ。さて、土産も買えたし、少し散歩しようか」


そして、海を見るのは初めてだというギュンターのために海沿いまで来る。
ようやく人気の少ないところに来て、コルネリアはある意味でほっとした。


「コルネリア、頬が赤くなってる」

「あ」


日焼けと潮風に負けてかさついてきている。母譲りの肌の弱さは健在だ。


「嫌だ。恥ずかしいわ」

「この風でですかね。確かに潮風というのはべとつくものなんですね」

「ええ。昔からどうしても肌に合わなくて、すぐ荒れてしまうので長い時間外出ができないんです。……そのせいで私は領主の娘なのに領土のことを何も知りません。妹や弟はなじんでいるこの土地や家に、私はどうしてもなじめなくて。……あんなふうに街の人たちに迎えてもらえたの、実は今日が初めてなんです」

「そうなのかい?」

「ええ、ギュンター様のおかげですわ」

「君は嬉しかった? それならばいいけど」

「もちろんです。嬉しくて……でも少しだけ情けないとも思いました。今までどうしてこんな風にできなかったのか……と。私、自分に自信がないんです。母は私を置いて出て行ったし、父は離婚してわずか一年で再婚しました。弟が生まれたのはそれから一年もたたないうちにです。跡継ぎも生まれ安泰なこの屋敷に、私は本当に必要だったのか。考えたら……どういう風に生きたらいいのかわからなくて」

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