秘密のラブロマンス~恋のから騒ぎは仮面舞踏会で~

それから、コルネリアとギュンターは屋敷に戻った。
ベレ伯爵は突然のギュンターの訪問に驚いていたが、その行動力に関しては気に入ったらしい。


「そこまで娘を気に入ってくれたとは有り難い。分の過ぎた申し出をしたと思っていたのだが」

「とんでもない。彼女のような心の優しい女性を探していました。きっと大切にしてみせます。それに、……実は事業のほうでも相談があるのです。こちらには腕のいい細工師が何人もおられるでしょう。わが領土でとれる岩石の中に時折、透明な美しい石が混じっているのですが、これの加工が難しくて手を焼いております。これに関する技術を伝授していただけたら、鉱石に関して優先的にこちらにお譲りすることを約束できます」


ギュンターは袋から掌に小石のようなものを出した。どれも一センチ未満のかけらで、透明なものから色の混ざったものまでいろいろある。

ベレ伯爵は、それを受け取り、はっと息を飲む。従者に5センチ程度の筒状のレンズを持ってこさせ、じっくりとのぞき込んだ。


「これは……ダイヤモンド・ラフだな。非常に硬いことで有名だ。同じ石同士で削るしかないとは思うが、南の大陸のほうでは細工技術が確立されていたはずだ。いいだろう。技術者を確保できないか交渉してみる」

「助かります。加工品として使えそうだとは前々から思っていたのですが、今のままではただの石ですからね」

「そうだな。自領で技術者を育てるつもりかな」

「ええ、可能ならば」

「君は抜け目のない男のようだな。取引相手としても有能なようだ。コルネリア、お前は幸せ者だ」


伯爵にそういわれ、コルネリアはホッとしつつ、「ギュンター様への縁談を申し込んでくださったこと、感謝いたします、お父様」と深々と頭を下げた。

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