秘密のラブロマンス~恋のから騒ぎは仮面舞踏会で~


 コルネリアは窓辺に置かれた白薔薇をずっと見つめていた。

脳裏にこびりついてしまったギュンターの姿。彼の手を取って踊った数時間前が夢だったような気がする。
本当に夢でもおかしくないような、幸せな時間だった。

ようやく落ち着いてきて、コルネリアはエリーゼが見つかった後のことも考える余裕が出てきていた。

まずは傷つき、怖い思いをしたであろうエリーゼを慰める。
そして……その後は。


「縁談をお受けしなさいって……言わなきゃ」


言葉にすると泣きたくなる。
だけど、エリーゼのためを思えば、それが一番だと思えた。

実際に出会ってみて、ギュンター様が家柄だけではなく、人柄もとびぬけて誠実で素敵な人だと知ってしまった。
駆け落ちに迷うようなヴィリーといるよりも確実に幸せになれるだろう。

コルネリアにとって、エリーゼは可愛らしく、心配な妹のようなものだ。幸せになってほしい。
前妻の娘という中途半端な立ち位置で、家でも家族になじめないコルネリアを支えてくれたのは無邪気に慕ってくれるエリーゼなのだから。

だから自分の恋心は封印しなくちゃ……。

コルネリアはそう決意して涙を拭いた。

夜が明けたら、この白薔薇を持って帰ろう。
ドライフラワーにして、花びらだけになっても大切に持っていよう。この恋の残骸を胸に、自分はべレ家のために、父親の望む結婚相手のもとに嫁ぐのだ。

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