秘密のラブロマンス~恋のから騒ぎは仮面舞踏会で~
とぎれとぎれに男たちの声が聞こえてくる。
「いうことさえ聞けば何もしない。いいか? 何を問われても『はい』というんだ。そうすればすべてうまくいく。ベレ伯爵の事業への手出しもしないし、あんたにもいい結婚相手を見つけてやるとおっしゃっている」
男の声は複数だ。
どうやら数人の男に囲まれているらしい。
それだけでも恐ろしいだろうに、コルネリアは震える声で反論していた。
「でも……、私じゃないわ。私がエリーゼの不幸など願うわけがないでしょう」
「あんたが罪をかぶってくれればすべてうまくいくんだよ。あんたとヴィリーが結託して、エリーゼお嬢様を陥れようとした。お嬢様は二重の意味で裏切られ、お父上の勧める縁談に従うだろう。その筋書きならば誰も傷つかない」
「私は、エリーゼを裏切ったりしない!」
「聞いてもらえないのなら、コルネリア嬢は事件を起こしたことを悔やんで自殺した、ということになる。なあに、ベレ伯爵にはまだ二人も子供がいる。しかもアンタは前妻の子だというじゃないか。いなくなったところで、困りはしないだろう」
「やめてっ」
悲鳴に似たコルネリアの声に、ギュンターは考えるのをやめ、扉に体当たりした。
見張りがてら、背中を預けていた男がいたのか、「うわっ」と喚いたかと思うと、重たかった扉が急に軽くなる。
「誰だ!」
男が振り向くのと同時に、ギュンターは男の足めがけて枝を振り付けた。