秘密のラブロマンス~恋のから騒ぎは仮面舞踏会で~


「……ギュンター様!」


コルネリアの頬は腫れて赤くなっていた。
すでに何らかの暴力を加えられていたのかと思うと、体中の血がたぎるようだった。


「えっ、ギュンター様? ど、どうする? どうすれば」

「お前は、……さっき話したな。公爵家の御者か」

「ぐっ」


睨みながら、わき腹に蹴りを入れる。御者の体格はしっかりしていたが、ギュンターの蹴りも力が入っていた。
横に飛ばされ、尻餅をつく。

中にいた男は総勢三人だ。扉を押さえていた男、御者、そしてもう一人は剣を持っている。

ギュンターは倒れていた男をひっつかみ、向かってくる帯剣した男に投げつけると、身を低くして彼らの懐付近に入り、脛を狙って枝を振り回した。

その拍子に倒れた男の剣を奪い取り、コルネリアの前へと走る。


「ギュン……ター……様」


コルネリアの瞳からはぼろぼろと涙がこぼれていた。
頬が腫れていて痛々しく、両手は後ろで縛られている。


「無事ですか?」

「はい」

「変なことはされていないね?」

「はい……ギュンター様、危ない!」


背後から襲ってくる男のあごに肘を打ち付け、倒れたところで鼻先に剣を突き付けた。


「血を見る乱闘になっては国王に報告しないわけにもいかないが、どうする? 公爵様に指示を仰がなくていいのか?」

「……っく、しかし、これが露見しては」

「もう遅いよ。公爵様が何をしたのか、今から種明かしをするところだ。ここで俺とコルネリアを傷つければ、罪状が増えるだけだ。……どうする?」


男たちは顔を見合わせてうなだれた。

< 96 / 147 >

この作品をシェア

pagetop