秘密のラブロマンス~恋のから騒ぎは仮面舞踏会で~
「……ギュンター様!」
コルネリアの頬は腫れて赤くなっていた。
すでに何らかの暴力を加えられていたのかと思うと、体中の血がたぎるようだった。
「えっ、ギュンター様? ど、どうする? どうすれば」
「お前は、……さっき話したな。公爵家の御者か」
「ぐっ」
睨みながら、わき腹に蹴りを入れる。御者の体格はしっかりしていたが、ギュンターの蹴りも力が入っていた。
横に飛ばされ、尻餅をつく。
中にいた男は総勢三人だ。扉を押さえていた男、御者、そしてもう一人は剣を持っている。
ギュンターは倒れていた男をひっつかみ、向かってくる帯剣した男に投げつけると、身を低くして彼らの懐付近に入り、脛を狙って枝を振り回した。
その拍子に倒れた男の剣を奪い取り、コルネリアの前へと走る。
「ギュン……ター……様」
コルネリアの瞳からはぼろぼろと涙がこぼれていた。
頬が腫れていて痛々しく、両手は後ろで縛られている。
「無事ですか?」
「はい」
「変なことはされていないね?」
「はい……ギュンター様、危ない!」
背後から襲ってくる男のあごに肘を打ち付け、倒れたところで鼻先に剣を突き付けた。
「血を見る乱闘になっては国王に報告しないわけにもいかないが、どうする? 公爵様に指示を仰がなくていいのか?」
「……っく、しかし、これが露見しては」
「もう遅いよ。公爵様が何をしたのか、今から種明かしをするところだ。ここで俺とコルネリアを傷つければ、罪状が増えるだけだ。……どうする?」
男たちは顔を見合わせてうなだれた。