秘密のラブロマンス~恋のから騒ぎは仮面舞踏会で~
「最初からそうすればいい。そもそも、公爵様に何を頼まれたとしても、それはおかしいと思えば従う必要などないだろう。君たちには主体性がなさすぎる」
庭師の小屋には当然ロープもたくさんあったので、ギュンターは彼らの手首を合わせて縛った。
三人の男が円を描くようにつながれて、身動きしようにもうまくいかないようだ。
「君たちの回収は騎士団の面々に頼むとするよ。さて。……怖かったろう、コルネリア」
先ほどまでとは打って変わって優しい顔で、ギュンターはコルネリアの手首に巻き付けられたロープを切った。
細い手首には、ミミズのはったような赤い痕がついてしまっていた。
ギュンターは優しくそれをなでると、彼女の腕をとって立ち上がらせた。
「あ、ありがとうございます」
まだ歯の根が合わずに、体を震わせながら慎み深くお礼をいうコルネリアを、ギュンターは有無を言わさず抱きしめた。
「ぎゅ、ギュンター様?」
「こんな時は抱きついてきてもらっても構わないのですよ」
「で、でも」
コルネリアの体は震え続けている。ギュンターの胸のあたりが、彼女の涙で湿り気を帯びてきた。
ギュンターは彼女を抱きしめたまま、その髪にキスをする。
「無事でよかった。……心配しました」
その声にほっとしたように、コルネリアが嗚咽を上げ始めた。
「……ふっ、えっ」
震える肩を包み込めることが、幸せだと思う。
彼女を見つけ出せたのは、運命だ。
今日ばかりはクラウスに感謝しよう、と思いながら、ギュンターはコルネリアが泣き止むまで、ずっと抱きしめ続けていた。