空に星が輝く限り、私はきみを忘れない~Dearest~
そんなことを考えながら夢中になって食べていると、
「おい、口に生クリームついてるぞ」
「え?」
昴が頭の上からこっちを見てそう言ってきた。
うそでしょ。うわぁ、あんまりケーキがおいしかったから気付かなかった……
昴が笑う。
「ほんと、梨沙は犬みたいだな。しょーがねーな、ほら、とってやるから動くなって」
「う、うん」
空中から昴の手が伸びてきて、
だけどそれはするりと、私の頬をすり抜けた。
「あ……」
それは一瞬のできごとだった。
何と言っていいか、分からない。
昴も、まるで自分のものではない何かを見るような表情で半透明の手を見ている。
言葉を失って、フォークを持つ手が止まっていると、
「……仁科、ついてる」
「え?」
「……そこ」
そう言うと、涼くんは表情を変えないまま、ナプキンで生クリームをとってくれた。
「あ、ありがと」
「……ううん」
何もなかったみたいに首を振って、涼くんはレモンティーのカップに手を戻した。
どうしてかな。
大好きなはずのショートケーキが……少しだけ、味気なく感じた。
「おい、口に生クリームついてるぞ」
「え?」
昴が頭の上からこっちを見てそう言ってきた。
うそでしょ。うわぁ、あんまりケーキがおいしかったから気付かなかった……
昴が笑う。
「ほんと、梨沙は犬みたいだな。しょーがねーな、ほら、とってやるから動くなって」
「う、うん」
空中から昴の手が伸びてきて、
だけどそれはするりと、私の頬をすり抜けた。
「あ……」
それは一瞬のできごとだった。
何と言っていいか、分からない。
昴も、まるで自分のものではない何かを見るような表情で半透明の手を見ている。
言葉を失って、フォークを持つ手が止まっていると、
「……仁科、ついてる」
「え?」
「……そこ」
そう言うと、涼くんは表情を変えないまま、ナプキンで生クリームをとってくれた。
「あ、ありがと」
「……ううん」
何もなかったみたいに首を振って、涼くんはレモンティーのカップに手を戻した。
どうしてかな。
大好きなはずのショートケーキが……少しだけ、味気なく感じた。