ビタービターチョコレート
けど。

「……お見合い、なんです」

「あー、そうなの?
いい人だったらいいね」
 
笑顔でそういわれて、悲しくなった。
やっぱり先生にとって私は、その程度の人間なんだ。
あんな、形ばかりのキスを毎日繰り返したところで、恋心なんて芽生えようはずもない。
 

翌日のお見合い。

……お見合いというか、もう互いに知ってる人だから、普通にデートしてきて、だそうだ。

十何年ぶりに会う岸くんは、やっぱり変わらずかっこよかった。
ごはん食べて、映画見てお茶して。
悲しくなることも、ため息つきたくなることもない、普通のデート。

……そう、退屈なくらい、普通の。

「霧島、その、……キス、してもいいか?」
 
別れ際、唐突にそんなことをいわれた。

それがこの場合、どういうことを意味するのかわかってた。
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