その唇で甘いキスをして…
バスルームでサヨウナラ
アタシはハルさんに頼んだ。

「お願い。帰らせて…」

ハルさんは哀しそうな顔でアタシを見て

「わかった。」

と言った。

ハルキさんの車でカオルと住んでる部屋まで送ってもらうのも気が引けて

「タクシーで帰るね。」

とホテルの前に止まっていたタクシーに乗った。

帰りのタクシーの中でハルさんから電話ががきた。

「ジュン…ゴメンな。

今日はふざけ過ぎた。」

「アタシこそゴメン。」

会話はそれだけだった。

カオルの居ない部屋に帰って
1人で泣いた。

それが分かってたのかカオルから真夜中に電話が入った。

「カオル?どうしたの?」

「ジュン…泣いてた?
声がおかしいよな?」

「ん?泣いてないよ。
ちょっと鼻がグズグズして…」

カオルに心配かけないようにまた嘘をつく。

「何か眠れなくて…もしかしたらジュンも眠れないかなって思って。」

「うん。眠れなかった。」

アタシたちは明方まで話した。

ハルキさんと泊まらなくて良かったと思った。

それでもアタシたちはもうこのままではいられない。

こんな生活はずっと続かない…
終わりは必ずやってくる。

それはカオルも分かってる事だった。

明日カオルが帰ってきたら
アタシはカオルに別れを言わなきゃいけない。





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