その唇で甘いキスをして…
愛された痕
カオルが退院するまで2ヶ月かかった。

アタシは毎日のようにカオルに逢いに行った。

ハルさんはそれを許してくれたけど…

心のどこかで信用してないかもしれない。

アタシはハルさんを思って
カオルとある程度の距離を保った。

カオルもそれなりに節度を持って接してる。

口では色んな事を言うけど…

アタシに触れたりしないように
気を遣ってた。

カオルは利き腕である左手を骨折していて
食事も満足に出来なかった。

アタシは面会が許される夕食の時間に顔を出し
カオルの食事を手伝う。

「朝と昼はどうしてるの?」

「スプーンとフォークで右で食べてるけど…
こぼしながら…」

見るとパジャマに食べ物のシミが残ってる。

アタシはカオルの着替えを手つだう。

カオルはアタシに甘えて幸せそうな顔をする。

アタシはできるだけその顔を見ていたい。

ハルさんの許す限り。

面会が終わる時間までそばにいて
帰ろうとするとカオルは

「明日は何時に来る?」

と必ず聞く。

明日はハルさんとの結婚記念日だった。

「明日は早めに来るね。

夜は予定がある。」

もしかしたらカオルはアタシたちの結婚記念日を知ってるかもしれない。






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