その唇で甘いキスをして…
面会時間終了の放送が入る。

「明日な。」

とカオルが寂しそうに行った。

帰ろうとするとハルさんが面会時間ギリギリにやって来た。

「おう、調子はどうだ?」

「だいぶ良くなりましたよ。」

「そうか。

もう帰るのか?」

ハルさんはアタシにそう聞いた。

「うん、面会時間もう終わりだからね。」

「そうだったな。

来てすぐ帰るようだな。」

ハルさんはさりげなくアタシの腰に触れる。

カオルに釘を刺すためなのか
それとも無意識なのかわからないけど勘ぐってしまう。

「じゃあまたな。大事にしろよ。

あ、これ差し入れな。」

ハルさんはカオルに何か包装されてるものを渡した。

「何?」

とアタシが聞くと

「ん?オトコが寂しい時、1人で観たくなるもの。」

と笑った。

「ハルさんもそういうの観るの?」

「俺はお前がいるからな。」

カオルは少し顔を強張らせる。

ハルさんはやっぱりどこかいつもと違って
カオルの前でアタシを困らせた。
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