その唇で甘いキスをして…
それからというものカオルはアタシを避けるように
口を閉ざした。

ある日仕事から戻ると
カオルがヘルパーさんとキスをしていた。

確かにヘルパーさんはカオルの側に置いとくには若すぎた。

アタシはそれを見てヘルパーさんをクビにした。

「誰でもいいの?」

アタシがそう聞くと

「ジュン以外ならみんな同じだ。」

とカオルが言った。

「カオルって動物みたい。

感情とかなくて…平気でこういう事するでしょ?

人を人だって思ってないでしょ?」

カオルは怒ってたみたいで
アタシを壁に追い詰めて両手で逃げ道を塞ぐ。

「俺の隣でハルキさんと寝たくせに。」

「やめて。」

「良かったか?興奮した?」

カオルが酷いことを言ってアタシを責める。

「仕方ないでしょ。夫婦だもん。

ハルさんが望んだら逆らえない。」

「その気だったくせに。」

アタシが泣くとカオルは部屋を出て行った。

そうだよ。嫌じゃなかった。

ハルさんを愛してるから。





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