その唇で甘いキスをして…
新しい恋人

アタシが今まで感じていたことを口にすると
ハルさんはすごく驚いていた。

「お前はそんな風に思ってたのか?」

「いつも忙しくて…
家に居なくて…

帰ってきても疲れててロクに話もしなかった。

抱いてくれることもあんまりなくて…

もうアタシはハルさんにとって女じゃないんだと思ってた。」

ハルさんはそんなアタシを抱きしめて

「結局はオレが悪かったんだな。

ごめんな。そんな思いさせて…」

と謝った。

そして

「だからアイツはああ言ったのか。

カオルに感謝しなくちゃな。」

とアタシの頰を撫でた。

カオルがハルさんに何を言ったのかはわからない。

でもそうだった。

アタシたちはカオルのおかげで再生した。

そんなことに今さら気がついて
アタシはカオルに感謝する。

そしてアタシはその日、カオルの事務所に行った。

カオルの部屋には相変わらず女の依頼人が来ていた。

アタシは彼女を気にもせず
カオルを抱きしめた。

「カオル、もう何処にも行かないで。」

「お、おい?ちょっ…お前、仕事中だぞ?」

依頼人はビックリして事務所を出て行った。

「営業妨害だな。」

カオルはそう言いながら抱きしめるアタシの顔を覗いた。

カオルの嬉しそうな顔を見てアタシは安心する。

「ごめんね。一人にして…寂しくさせて。」

カオルは戸惑いながらもアタシをキツく抱きしめ返した。
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