その唇で甘いキスをして…
そしてアタシの願いも虚しく
リンちゃんは旦那さんと一緒に家に戻ることになった。
リンちゃんの引っ越しをカオルと手伝った。
半年も満たない家出の荷物は簡単に片付いて
リンちゃんはこの家を出て行く。
「リン、良かったな。」
カオルがそう言うとリンちゃんはカオルの気持ちも知らないで嬉しそうに微笑んだ。
「カオルくん、ありがとう。
ここで会えて良かった。
ジュンちゃんにも会えて嬉しかったわ。
また遊びに来るね。」
リンちゃんはアタシに言った。
「カオルくんを頼むね。
すごく寂しい人だから…ジュンちゃんが側に居てあげて。」
アタシは堪らずにリンちゃんに言った。
「リンちゃん、カオルの側に居てあげてくれない?」
無理だとは分かってたけど…
「カオル君が本当に好きなのはジュンちゃんなのよ。」
と言った。
リンちゃんの欠点が1つだけある。
それは男の気持ちに鈍感な事だ。
リンちゃんが去ったその日、アタシはカオルと飲んだ。
そしてカオルは耐えられずにアタシに言った。
「ジュン、抱きしめてもいい?」
アタシはカオルに抱きしめられる。
「オレってどうしてダメなんだろうな?」
そう言ってアタシの胸に顔を埋めた。