その唇で甘いキスをして…
「ハルキさん、もう帰って貰えないですか?」

ハルさんは朝と違って落ち着いていて何だか怖かった。

「カオル…今まで目を瞑ってきたけどもう限界だ。」

「ハルキさんがジュンを捨てたんでしょ?

あの日…ジュンはハルキさんにフラれてボロボロだった。

死ぬほど泣いて…見てられなかった。」

「だから手を出していいと?」

「ええ!

ハルキさんが要らないならオレが大切にしようって思って…」

「お前がジュンを好きなのはわかるが
ジュンはもうオレの妻だ。

お前の事も大切だが、ジュンを譲るわけにはいかないな。」

「でも…ジュンの気持ちは変わった。

ハルキさんがジュンを捨てたあの夜…
ジュンはオレと…」

「カオル!」

アタシはやっぱりそれだけはハルさんに聞かせたくなかった。

「お前とジュンが寝たって言うのか?」

ハルさんは話しを続ける。

「オレの身体でジュンは抱けないって思ってます?」

カオル…ダメ。言わないで…
アタシは心の中で叫んだ。

「ジュンとオレ、最後まで行きましたよ。」

ハルさんはなにも言わなかった。

「ジュン…帰ろう。」

カオルがそう言ってアタシの手を取った。

ハルさんはフラリと外へ出た。

帰ったと思ったけど…
突然戻ってきてカオルの頰を殴った。

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