その唇で甘いキスをして…
アタシはハルさんともう終わりだって思ってるのに

ハルさんとやり直すみたいにカオルとの事でまた同じ嘘をついた。

でもあの時…
アタシが本当に欲しかったのはカオルのカラダでもsexでもない。

ハルさんの心だった。

「ハルさん…あの時アタシが欲しかったのはハルさんだった。」

ハルさんは何にも言わずにアタシを抱きしめた。

そしてアタシはいつの間にか眠りについた。

朝起きると熱はまだ下がってなかった。

ハルさんがオデコに手を当てて

「昨夜無理したからまだ熱があるな。」

と言った。

「無理じゃなかった。」

ハルさんは優しい顔で笑った。

「誰か人に来てもらおう。

午後に先生が往診に来てくれる。

オレは仕事が終わったらまた来る。」

「ハルさん…」

アタシがハルさんの名前を呼ぶと
ハルさんはキスしてくれた。

いつもと変わらないのに…
アタシはハルさんの家には帰れない。

ハルさんが仕事に行こうとすると
カオルがドアの前に居た。

「ここに泊まったんですか?」

「あぁ。悪いか?オレのマンションだ。」

カオルは部屋に入って来て
アタシの寝室に来た。

ベッドに寝てるアタシをみて

「具合悪いのかよ?」

と聞いた。

「熱が出ちゃって…」

「ハルキさんを呼んだの?」

「…うん。」

カオルが怒ってるのがわかったけど…
ハルさんの前でカオルに優しくは出来ない。

アタシは最低だった。

「ジュン、行ってくる。また夕方な。」

ハルさんが出て行くと
カオルはアタシを責めた。

アタシは何も言わず責められるしかなかった。




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