クールな御曹司にさらわれました
「朝晩食事を一緒にしてるから、おまえが食べるところばかり見ている気分だが、本当に気持ちがいいくらいよく食べるな。前も言ったが、おまえは美味そうに食べるところは美点だ。うちの厨房の連中も喜んでいたぞ。真中様はお替わりまでしてくれるって」

「ヒィ、すみません。美味しいんですもん。尊さんちのごはん」

「いや、いいことだぞ。おまえの無邪気な喜びが、働くもののモチベーションアップに繋がっている」

あとな、と尊さんが付け足す。

「気持ちよく食べる女は好きだ」

「ぶふっ」

好きって……まてまてまて、私。この人は好みの話をしたわけで私の話はしていない。現に表情が一ミリも動いてないもん。落ち着け、落ち着け。

「付き合いのある財界人の令嬢なんかをエスコートするとな、サラダをちまっと食べて『ああ、もうお腹いっぱいですわ』とか言うんだ。こっちは、フレンチの老舗に予約とって連れてきてるんだぞ。シェフが丹精込めて作るメインが入らんと言うのかこの愚物めと思わず悪口雑言が出そうになる」

「あ、出そうになるだけで我慢するんですね」

「まあ、たまに我慢できなくて口に出してるらしい」

っぽいなー、尊さんっぽい。
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