クールな御曹司にさらわれました
ランチは素敵な時間だった。マヒドさんは祖国からシェフ同伴でお越しになっていて、そのシェフの作るお料理のおいしいことったら。
初めて食べるものも多いけれど、揚げた餃子みたいなものも、香辛料の香るチャーハンみたいなものも、私好みだ。

私はまた、『美味しくなんでも食べるタマ』という尊さんいわく美点を駆使して、全部たいらげましたよ。
すっごくおいしかったもん!!

マヒドさんと尊さんはほとんど英語で会話していて、私は半分聞き取るのがやっとだったけれど、優しいマヒドさんがときどき私を会話に混ぜようと日本語を喋り出してくれ助かった。
羽前尊とその婚約者、業務提携先のスーパー御曹司とランチって図になったかな?

食事も終わり、コーヒーを三人でいただいていると、尊さんをサラさんが呼びに来た。
今まで姿が見えていなかったから、サラさんはもともと同行していなかったみたいだけど。
私に目配せして微笑み去っていくサラさんと、その前を悠然と歩き席を外す尊さん。私はマヒドさんと取り残された格好になった。

「タエハ、ホントウニキュート。ボクモタエミタイナ奧サンガホシイナ」

マヒドさんがふふと笑って言うから、私は照れるやら恐縮するやらでコーヒーの味もわからない。

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