クールな御曹司にさらわれました
ランチを終え、加茂さんの送迎を断った私は着物姿のまま、今夜の会場である帝和ホテルにやってきた。
胸の中はぐるぐるのパニックだった。

どうなってんの?ねえ、ちょっと。婚約ってなに?
私、何も聞いてないけど。

会場である三階のバンケットルームに到着すると、今まさに今夜のパーティーにむけ設営に大わらわといった様子。
ひとつ深呼吸。私は平静を装って、動き回っている女性従業員のひとりを捕まえた。

「あの、お伺いしてもいい?今夜レオマーケットグループ主催のパーティーに招待を受けているのだけれど、会場はここでいいのかしら?」

いいところのお嬢さん風に尋ねてみる私。正直、羽前家主催かどうかもわからない。賭けだ。

「はい、そうございます」

中年の女性従業員は愛想よく答えた。
すると横から若い従業員がひょこっと顔を出す。

「レオマーケットグループの後継者・羽前尊様の婚約披露パーティーと伺っておりますよ!」

私は今度こそ凍り付いた。
尊さんに婚約者なんかいたんだぁ……そうじゃない、そうじゃない。それは私だ!

尊さんは私がまだ何もOKしていないのに、今夜私との婚約を発表してしまう気なんだ!!

背筋がさーっと冷たくなった。これってどういうこと?

どおおおいうことよぉぉぉぉぉ!!!

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